9月8日のトピック

いよいよ日本から電子マネーの勢力図が変わる、かもしれません。

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日本時間の9/8未明、サンフランシスコで開催されたAppleの新商品発表会で、新型のiPhone7、iPhone7PlusApple Watch2が発表されました。

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事前にリークされている情報も沢山あった事から、それほど大きな驚きの新機能はありませんでしたが、しかしここにきて少々予想を裏切る様な新機能が搭載されました。

それはiPhoneにFeliCa機能が搭載された事です。

FeliCaとはいわゆるおサイフケータイの機能の根幹をなす非接触ICカードの技術です。非接触型のデータ通信技術と言えば全世界的には「NFC」が普及していますが、NFCは単なる通信の技術だけなのに対して、FeliCaはこれにデータの管理やセキュリティ機能も盛り込み、カードの形にまでまとめたもの、を指します。

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↑これらも全てFeliCaのシステムを採用している電子マネーカードです。

つまり、FeliCaの方が可搬性もよく安全性も高い、と言う事が言えるのですが、如何せん日本(SONY)が独自に策定した規格と言う事もあり、これまで世界的な普及には至ってなかったのです。

一方、Appleの方も、これまでiPhoneは全世界で販売するスマートフォン、と言う事もあり、特定の国や地域でしか需要の無い機能は盛り込まれる事はありませんでした。特に日本の場合、ガラケー3種の神器と言える『赤外線通信』『ワンセグ』『おサイフケータイ』があり、これらは日本以外の国では普及していない/既に廃れてしまった機能と言う事でiPhoneには搭載されないまま今日まで来ています。

しかし今回、新型iPhone7にはFeliCa機能が搭載され、アプリも揃っておサイフケータイとして使用出来る様になりました。

これにはいろいろな理由が考えられます。一つはAppleがiPhone6の発売と同時期に展開を始めた電子決済サービス「Apple Pay」を日本でも普及させる為には、既に日本で普及しているFeliCaのシステムを取り入れざるを得なかった、と言うのがあるようです。

また今回iPhoneにFeliCaが搭載されたのにはJRグループからの猛烈な働き掛けがあったとも言われています。実はFeliCaはNFCより多機能であるにもかかわらず、単位時間当たりの処理能力はNFCよりも高い、とされています。これはJR東日本が統計を取って調べた結果、改札での処理能力には「1分間に60人の改札処理」が必要とされ、それにはカードが接触してから決算処理を済ませるまで200ミリ秒以内で処理とされており、FeliCaもこれに沿って仕様が決められているのです。この数値は同様の自動改札を使っているロンドン交通局ものが、250~500ミリ秒で処理している事と比較しても高速である事が判ります。

現在世界では「交通系の非接触通信技術における世界基準の策定」が懸案化されています。世界にはNFCをはじめとした同様の非接触型通信技術が沢山ありますが、処理能力と実績という点においては日本のFeliCaがずば抜けています。実際、世界の鉄道駅での年間乗降客数のトップ20までは日本が独占しており、23位にようやく出て来るパリ北駅とトップの新宿駅を比較しても5~6倍以上の差異があります。それだけの件数を処理している事はFeliCaにとっては大きな実績と言えるでしょう。

つまりiPhoneが今回FeliCaを搭載した、と言う事は世界の交通系電子マネーカードが日本式になる(もしくは日本式のFeliCaが使用出来る様になる)可能性を産み、ひいては世界の電子マネーが日本式のおサイフケータイに大きく変換する予兆にもなりえる、と言う事でもあります。本当にこうなったらスゴイ話ですね。

 

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