2016年 6月

訴訟社会、アメリカの事ですから、こうなる事は予期できたと思いますが…。

Windows10_build10565_02

MicrosoftのWindows10への事実上の強制アップグレードは日本のユーザーにも頭の痛い問題ですが、それは別に日本人だけに限った話ではない様です。

アメリカではこのWindows10への強制的なアップグレードのせいで、仕事に支障を来したとして裁判沙汰に発展したことが話題になっています。

訴訟を起こしたのはサンフランシスコで旅行代理店を営むテリーさんと言う女性。Windows7が動作するパソコンで仕事をしていたのが、ある日いきなりWindows10に勝手にアップグレードしてしまい、以来パソコンは安定した動作をしなくなり、マイクロソフトのサポートに連絡するも事態は解決せず、結果的に1か月の時間を無駄にして新しいパソコンを買う事になってしまいました。テリーさんはこの事はマイクロソフトの責任とし、新しく買ったパソコンの代金と、1か月間仕事が出来なかった事の補償として1万ドルの賠償を求めて裁判を起こし、カリフォルニアの少額裁判所はこの訴えを認め、マイクロソフトに賠償支払いを命じました。因みにMicrosoftはこの判決について法的な不正行為は認めてはいませんが、これ以上の裁判費用を避ける為に控訴はしないとの事です。

テリーさんの訴えの中には「Windows10なんて聞いたこともなかった。アップグレードしたいかどうかを尋ねてもこなかった」とか「マイクロソフトのサポートは対応が悪かった」と言った様な、この手の訴訟ではありがちな相手に対しての悪意のあるコメントが出てきますが、それらを差し引いたとしても、今回のマイクロソフトのWindows10へのアップグレードは性急、かつ強引な印象をぬぐえません。

日本人の多くは争いを好みませんから、この様な状況になっても多くの方が「しゃーねーじゃん」と抑える事も出来るでしょうが(漫画にして笑い飛ばしてる事例もありますが)、訴訟大好きな欧米においてはこのやり方では遅かれ早かれ訴訟沙汰になってもおかしくないですね。

日本でもつい先日、消費者庁がWindows10へのアップグレードについての注意喚起を出していますが、同様の裁判は起きてもおかしくないかもしれません。

これからは入国目的を聞く以前に、顔を見られることになりそうです。

日本電気株式会社(NEC)は13日に、アメリカ、ニューヨーク州にあるジョン・F・ケネディ国際空港の入国審査用の顔認証システム「NeoFace」を納入した事を発表しました。このシステムは既に可動を開始しているそうです。

乗客は入国審査用の自動ゲートでeパスポート(本人の生体情報や顔写真データを記録したICチップを内蔵したパスポート)のデータを読み取り、同時にゲートに備えたカメラによって撮影した旅行者の顔写真をリアルタイムに照合、同一人物であるかを迅速、且つ高精度に判定する事が出来る、と言う物です。

JFK空港では今後、ビザ免除プログラムを使って初めて米国に入国する旅行者と、eパスポートを所有する米国籍の帰国者に対してこのシステムを通じて本人確認をする、としています。

アメリカの国際空港で導入、と聞くとなにやら仰々しい感じもしますが、顔認証システムは身近なところでもだんだんと採用される様になってきています。

例えば、アイドルのコンサート会場におけるファンクラブ会員の確認にも顔認証システムは採用されています。

従来は写真付き身分証明書を係員が実際に見て確認をしていましたが、短時間で多くのファンの入場を裁く上で人力での確認では正確さを欠く、時間がかかると言う問題がありました。顔認証システムを使えばこうした問題を一気に解決出来る、と言う訳です。

この様な顔認証や眼球の虹彩、指紋、声紋等で個人認証をする生体認証は、今後はパソコンやスマートフォンにも多用される事になります。

既にスマートフォンでは指紋認証や虹彩認証が使用出来る機種が増えていますし、Windows10でも内蔵されたwebカメラを使って本人確認をする「Windows Hello」が利用可能です。

個人デバイスの場合はやはりパスワードの管理と言う煩わしさから解放される、と言うのが大きな利点です。パスワード入力も近い将来は過去の遺物になりかねないですね。

こんな所でもネット時代を感じることが出来るでしょうか。

第153回芥川賞を受賞した、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹作の小説「火花」が映像化されました。

と言っても、それを見れるのはテレビでもなく、映画でもありません。

インターネットで動画配信をしているwebサイト「NetFilx」で視聴出来ます。

ここ数年、日本でもこうしたネットを介した動画配信サイトの大手がアメリカから進出し、着実にユーザーを増やしてます。アメリカでは元々、電波を使ったテレビ放送の他に、契約視聴者だけ楽しめるケーブルテレビがあり、これを利用するユーザーが地上波テレビの利用者より多い、という事情があります。やはり国土面積が広大で国内でも標準時刻が4つある国(ハワイ、アラスカも含めると6つ)なので、生放送で全国民が同時にテレビを視聴するのにはそれだけでも時差を考えないといけない、と言うのがあり、また好きな時間に好きな番組を楽しむ事を考えると、より自由な視聴方法が可能なケーブルテレビが普及する、と言う訳です。

そこにインターネットが加わる事でより自由に、より好きな時間に好きな番組を視聴出来るサービスが可能になった、そして誕生したのがこのNetFilxhulu(フールー)Amazonプライムビデオです。

さて、日本でもこれまで多くのネットによる動画配信サービスがありましたが、これらのサービスとアメリカ発動画配信サービスの一番大きな違いは「自社製作のオリジナルコンテンツがある事」です。

▲huluオリジナルドラマ「フジコ」予告編

▲Amazonプライムビデオ オリジナルドラマ「はぴまり~Happy Marriage!~」予告編

日本の動画配信サービスはいずれも過去にテレビ放送された、映画公開された映像を視聴出来る、所謂レンタルビデオの延長の様なサービスばかりでした。しかし、アメリカ発の動画配信サービスは積極的に自社制作のコンテンツを配信しています。

なぜこのような事が出来るか、と言うと、まずはオリジナル作品を持つ事での他社との差別化が出来る、と言う点、ネット配信なので世界規模での販売に期待できる点等がありますが、一番大きいのは表現の自由度が高い点です。

例えばテレビドラマの場合、当然ながらスポンサーが付きますが、と言う事はそのドラマの中でのスポンサーのライバル会社の製品を小道具には使えませんし、スポンサー会社の製品であってもこれ見よがしに映し出すのも聊かはばかられます。

また残虐シーンや性的な表現も、現在のテレビ局では表現規定がより厳しくなっています。

しかし、ネットによる動画配信の場合、視聴者と有料視聴契約をして、そこから製作費を捻出しているので、従来の様なスポンサーへの気遣いは不要になり、表現の規制もネット配信ではハードルが低く、より作品の趣向性を高める事が出来るのです。

こうした自由な製作現場が映像制作側にも支持され、今ではハリウッドの映画製作会社も積極的にネット配信専用映像の製作に乗り出しています。

また、これらのサービスは再生するデバイスを選ばないのも強みです。基本はwebページを介しての接続、視聴なのでパソコンでの視聴になりますが、スマートフォンやタブレット端末でも専用のアプリを使う事で視聴が出来ますし、大画面テレビでもテレビそのものが対応していれば視聴が出来ます。非対応テレビの場合はテレビに接続する機器、例えば家庭用ゲーム機(PS4PS3Wii UXbox360)の追加機能を使う事で視聴が可能になりますし、セットトップボックス(AppleTVAmazon FireTVGoogle ChromeCastNexusPlayer等)をTVと接続して視聴する事も出来ます。

火花」もこうしたオリジナルネット配信映像の日本発として、世界に注目される様になるといいですね。

 

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