2016年 4月

被災されている皆様にはお見舞い申し上げます。

14日に発生した熊本地震は大きな地震が連続して起こる為、災害復旧の手が中々入れない状況です。

通信に関しては、やはりこのような状況になった際には無線通信出来る携帯電話の有効性が目立ちます。

各携帯会社は熊本地震の被災者に対してはデータ通信量の上限を開放したり、料金の請求期限を遅らせる等、多くの支援対策を打ち出しています。

その支援策にも新しい試みがいくつか投入されているのでご紹介します。

1)ソフトバンク、気球に基地局設備を載せて飛ばし、臨時基地局を設置

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ソフトバンクは17日に福岡県八女市の矢部村高巣公園に臨時基地局を設置しました。この基地局は気球に中継基地局の機材を載せ、上空にあげる事で、山間部の利用者の通信障害解消や福岡ー阿蘇間の通信中継を行う事が出来るそうです。

実はこの気球による臨時基地局は東日本大震災の教訓を受けて開発されたもので、これまで訓練や試験での運用はされてきましたが、今回、満を持して実践投入となったわけです。

各携帯会社はこれまでも大人数が集まるイベントの際や災害時には臨時基地局を出していましたが、それらは機材を積み込んだトラックや1BOXカーでした。その為、高い建物や山の中での運用には十分な効果が得られない場合もあり、軽微な機材で高所からの通信が行える気球と言うアイディアが出たものと思われます。

2)公衆無線LAN各社、Wi-Fiの無料開放

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現在日本では多くの場所で公衆無線LANの利用が可能になっていますが、通常は契約している携帯会社のサービスとして運用されている物や無料で会員登録した物が殆どなので、これらと利用契約をしてない方は公衆無線LANサービス自由に使えないのが実情です。

しかし今回の地震被害を受けて、「無線LANビジネス推進連絡会」に加盟している熊本県内の公衆無線LANサービスは非契約者であっても無料利用出来る様に解放しています。

通常は各サービス毎に無線LAN接続に使用する接続先ネットワーク名は個別に設定され、そこに接続する際にはパスワードの要求をされます(パスワードなしで接続出来る場合でも、その後にブラウザを介してユーザー認証をする必要があります)が、無料開放されている接続先は「00000JAPAN」と統一した接続先名になり、パスワードなしで接続が可能になります。

この他の携帯電話各社の災害対策はこちらに纏めが掲載されています。

3)LINE、一般電話に通話出来るサービス「LINE Out」を1通話10分まで無料、しかし…

無料通話アプリのLINEには、一般の加入電話や携帯電話に格安で通話が出来るサービス「LINE Out」と言うオプションサービスがありますが、今回の熊本地震への対応策として、このLINE Outを1通話10分の限定で無料で利用出来る様にしました。

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一見すると非常に有益なサービスの様に見えますが、LINE Outの仕組みを知っている人からすれば非常に問題があると指摘され、Twitter等で批判が殺到しました。

災害時に安否情報を確認する際、電話での直接通話は交換機への負荷が膨大にかかる為、通話が出来なくなる事が間々ありますが、通話アプリはこうした点では交換機を介さない分、負担が少なく通話も繋がりやすい、と言う利点があります。しかしLINE OutはLINEからの発信を一般の交換機につないで加入電話や携帯電話と通話させるサービスである為、結果的に交換機への負荷を掛ける事になってしまい、しかもLINE運営側が「安否確認にご活用ください」と軽々に利用を促す様なツィートをした結果、より一層の通話混雑を招く結果となってしまいました。

声による安否確認はやはり安心感を産みますが、通話の為の機材、施設への負荷を思うと、メールや文字でのメッセージ等を優先して使用する事を考えた方がよさそうです。

4)意外と多い「電子書籍の無料公開」

ここ数年、電子書籍はじわじわと利用者が増えていますが、今回の震災に合わせて、震災に役立つ多くの電子書籍が無料公開されています。

1雑誌『ソトコト』を手がける木楽舎は4月15日、評論家の荻上チキさんが手掛けた『災害支援手帖』(税込1296円)の臨時公開版をWebサイトで無料公開しました。

荻上チキさんはこれまでも多くの災害現場での取材経験があり、こうした経験をまとめたのがこの本になります。どちらかと言うと、支援を受ける側より支援をする側の目線で書かれている内容が多いですが、災害の現場でも役に立つ情報もたくさん載っています。

また、東京都が編纂している防災時に役立つ情報をまとめた本「東京防災」の電子書籍版もAmazon KindleStoreやApple iBooks、楽天kobo等の電子書籍販売サイトにて無料で公開されています。

元々「東京防災」はwebページ上で無料で読めるPDF版を公開し、紙の書籍版は1冊140円で都内の書店で販売されていました。都民の為の防災情報を掲載した本ですが、災害時に役立つ、改めて気付かされる情報が多数掲載されています。

また、電子書籍版として一括ダウンロードが出来るので、一度端末に取り込めれば通信が出来ない状況になっても何度でも読み返す事が出来ます。

この他にも医療や法律問題、災害支援等の電子書籍本が多数無料公開されています

5)フリマアプリ「メルカリ」の災害時における想定外の使われ方にいろいろ問題が

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ここ数年、スマートフォンを使って簡単に私物を売りに出せるフリマアプリ「メルカリ」が人気を博していますが、今回の震災に乗じて想定外や規約違反すれすれの使われ方がされています。

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まず、「支援物資を無償提供する」と言う投稿が出ているのですが、これはメルカリのルールに違反しています(最低出品価格が300円と規定されている為)が、ならばと言う事で出品者と購入者をマッチングさせた後、取引をキャンセルにして費用を発生させないと言う手段が出てきたり、最低価格の300円で出品、購入者も300円を支払わせるけど、商品の荷物に300円を同封して返金する、と言う手間のかかる方法も出てきています。

メルカリのルールでは「購入者限定の出品」は規約違反とされています。つまり、被災者限定とか熊本県人限定の様な出品の仕方はそれ自体がNGになります。また現金を直接郵便や手荷物で送る行為は「現金書留」以外は認められていませんので、これもNGになります。

image2更によくあるのが「災害時に役立つ情報をメルカリの商品画像に投稿する」と言う物です。

これは値段が付いていても画像で情報が全て公開されているので実際に取引は行われない事になりますが、フリーマーケットとして出品商品の売り上げの10%を手数料として得ているメルカリとしてはやはり困った使われ方と言う事になります。

同様に被災者へのメッセージ発信にメルカリを使った例もあるそうですが、やはり上記同様に現実の売買が行われない使い方には問題があります。

また画像投稿だけを使う例として「支援に必要な物の一覧」と「それを届けてほしい場所」のメモを画像にして投稿すると言う物もありますが、これもメルカリの規約上では「宣伝の出品」と呼ばれる規約違反になります。

もっとも問題なのは「支援物資を私が持って行くので、私宛に送ってください」や「私にお金を送ってくれたら寄付します」と言う投稿です。

どちらも詐欺の様な臭いがプンプンする胡散臭そうな内容です。実際「私宛に送ってください」の投稿は「沖縄消防に物資を引き継いで熊本まで送る」と言う内容でしたが、これは実際に沖縄消防に問い合わせがあり、その様な事実はない旨の返答があり、詐欺である事が露見しています。

2011年に続き、今回も大きな震災です。関東圏に住んでる人間としては直接手助けできる事は少ないですが、少なくとも正しい情報の伝搬には寄与したいと思っています。

 

4月11日に『新しいテレビ放送局』が開局しました。

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と言っても、地上波テレビ放送でもないですし、衛星放送でもありません。

インターネットの世界に作られた新しいテレビ局、その名も「AbemaTV(アベマTV)」と言います。

この放送局はテレビ朝日とサイバーエージェント共同出資して設立したインターネットテレビ放送の専門放送局になります。

YouTubeの様な動画配信サービスと何が違うか、と言うと以下のような点で相違があります。

1)22の特定のジャンルに特化した「チャンネル」を持ち、番組表に則って24時間番組を配信しています。

チャンネルにはニュース、音楽、ドラマ、バラエティ、アニメ等、既存の衛星放送の専門局の様な物もあれば、釣やペット、麻雀対局の様な趣味性の強いチャンネル、記者会見中継に特化したチャンネル等、既存の放送局にはない多様なチャンネルも用意されています。

2)Youtubeは基本的に動画を1本づつ視聴する(プレイリストを選択して連続視聴も出来ますが)のに対して、AbemaTVはチャンネルを選択するとあとは番組表の順番に連続して動画が再生されます。

3)AbemaTVには有料の「プレミアム会員」(960円/月)の制度があり、これに登録すると放送済みの番組はいつでも見放題で視聴出来る様になります(YouTubeは会員登録しても無料)。

視聴するにはwebブラウザで専用のwebページにアクセスするか、スマホやタブレットの場合は専用のアプリを使って視聴できます。

また将来的にはテレビに接続してネット動画を視聴するデバイス、GoogleのChromeCastやAppleTVでの視聴も可能になる、と発表しています。

abemaTVはテレビ朝日が共同出資社として名を連ねているだけあって、かつてテレビ朝日系列で放送したドラマやアニメがコンテンツの多くに見られます。この辺り、TBSが出資しているテレビ放送番組をネットで再放送するサービス「TVer」と多少被る感じもします。もっともAbemaTVは現在テレビ朝日で放送されているコンテンツをそのまま再放送する様な事はしてないので、その辺は棲み分けがされている様にも見えますが。

huluNetFlixAmazonプライムビデオ等、ネットを介してテレビ的な映像コンテンツを配信するサービスも充実している昨今ですが、そうなるとより一層気になるのが視聴スタイルですね。特に大きな画面で見る事が出来る環境は今後も注目される様に思います。

 

今年の夏もWindowsに注目です。

 

3月31日よりアメリカMicrosoftは開発者向けカンファレンス『Build2016』を開催していましたが、その席上で現在最新OSのWindows10について、「Windows 10 Anniversary Update」と言う大型アップデートを提供する事を発表しました

これはWindows10に対してさらなる機能強化、新機能の追加をするものです。

このAnniversary Updateにおいて一般ユーザーに大きく関係してくるのは以下の3つではないか、と思われます。

1)生体認証機能『Windows Hello』のサードパーティ提供

既にWindows10には指紋センサーや赤外線カメラ等の機器を使って、使用者の身体的特徴を読み取ってユーザー認証を行う『Windows Hello』と言う機能が搭載されていますが、この機能はこれまでWindows及びMicrosoft製ソフトの一部でだけ使用可能なものでした。

Anniversary Updateによってこの機能がサードパーティ(Microsoft以外のソフトウェア会社や周辺機器メーカー)の開発者でも利用出来る様になります。

つまり、今後はこうした機能を持つパソコンがだんだん一般的になって来る、と言う事が考えられます。これまでも指紋センサーを内蔵したパソコンは数多く販売されてきましたが、いずれの場合もメーカーの独自機能と言う位置づけで、その為のソフトウェア開発もパソコンメーカーに一任されていました。その為、パソコンのログオン時には指紋センサーによる認証が使えても、それ以外の個人認証には使えない、というのが殆どでした。

今後はWindows Helloの機能を使って生体認証の基盤が整備される事になり、更にWindows10標準のwebブラウザであるMicrosoft Edgeとの組み合わせで、Webサービスのサインインなどにも利用が可能になります。

2)Cortana(コルタナ)の強化

Cortana(コルタナ)の使い方 - Windows 10を音声で操作しようWindows10には音声認識によるデジタルアシスタント機能の「Cortana(コルタナ)」が搭載されていますが、この機能が強化され、例えば出勤時刻や移動開始を察知して交通情報や天気を伝えたり、サードパーティーアプリでのナビゲーションやライドシェアリングを提案する、等も可能にしていくとの事です。

Anniversary UpdateはWindows10Mobileを搭載したスマートフォン(以下Windowsスマホと呼称)にも適応されると発表されています。Windowsスマホにも当然ながら、このコルタナの機能は搭載されているので、と言う事はこのスマホを介してより積極的なパーソナルアシスタントをして行こうと言うのがMicrosoftの狙いになるかと思われます。

3)手書き入力 Windows Ink のサードパーティーアプリ提供

ペンや指での手書き・手描きをサポートするWindows Ink機能が、サードパーティーアプリにも容易に組み込み可能になります。ペン入力の機能もこれまではペンタブレットメーカーの独断場でしたが、ここもマイクロソフトが基盤整備をし、他のアプリでも積極的に使用出来る様にしようとしてる事が判ります。

特にアジア圏は元々が筆の文化、且つ多種多様な文字を扱える文化があり、こと手描きについてのニーズは欧米より高いかと思います。

この他にも沢山の新機能が盛り込まれるとの事で、Windows系の開発者の方はこれから大変忙しくなるかと思います。

これらの機能を有効に使う為には、PC側にもそれを活かせる能力が必要です。Windows Helloには指紋センサーやカメラ、コルタナにはマイク、Windows INKにはタッチディスプレイや大型トラックパッド、もしくはペンタブレットが必須になり今後はUSBデバイスとして追加する、もしくは買い替えの際にはこれらの機能が内蔵されている物を選ぶ事になるでしょう。

しかし一般ユーザーにとってはそれ以上に悩ましいのが、Windows10の無料アップグレードの有効期限が今年の7月28日まで、と言う事ではないでしょうか。特にWindows7ユーザーの方はこのままいくか、乗り換えるか、乗り換えるなら機体は買い換えるか、悩ましい所ですね。

 

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