2018年 1月

かねてから噂のあった「無人コンビニ」Amazon GOがシアトルにオープンしました。

入店時にAmazon GOのアプリを起動、画面に表示されたQRコードをスキャンさせると入店出来、以後は店内から好きな商品をもってそのまま退店すれば5分後にAmazonから決済完了のメールが来る、と言う仕組みです。

日本でこれがすぐに導入される様な計画はまだありませんが、もし出来たとしたら、アメリカ人以上に「万引きしてるんじゃないかしら?」と後ろめたい気持ちになる人が多そうですね。

 

いつもニコニコ現金払い、はもう古いと言われそうです。

1月17日、docomoは新しいスマホ決済サービス「d払い」を18年4月からサービス開始すると発表しました。

大きな特徴はこれまでの電子マネーの様なハードウェアの用意を極力使わず、スマホの画面に表示されるバーコードやQRコードをPOSレジスタやタブレット端末で読み取れば決済が出来、毎月の携帯電話料金に合算、若しくは登録したクレジットカード(VISA、Masterの他、docomoのdカードも登録可)で支払う事が出来ます。更にdocomoのポイント「dポイント」でも支払いが可能になり、また支払い金額200円ごとにdポイントが1ポイント付与される仕組みにもなっています。

現在日本で主に使われている電子マネーはICカードやその機能を内蔵した携帯電話によるものですが、いずれの場合も利用者側にも店舗側にも専用の機器を用意させる必要があり、新規に導入するにあたってはその機器を用意する費用が大きな負担になっていました。

しかしd払いの場合、利用者側は端末にアプリをインストールして設定をするだけ、店舗側も市販のタブレットに専用アプリを導入するだけで決済システムが構築出来てしまいますので、これなら個人事業主でも導入は簡単に出来る様になります。

またこうした新しい決済サービスはサービス利用が出来る店舗が限られていると中々普及しないものですが、今回のd払いの場合、ローソンやマツモトキヨシ、ツルハドラッグ、ウェルシア、高島屋と言った全国規模のチェーン展開をしている店舗が多く参加しているのも大きな特徴と言えます(特にローソンの全国1300店舗、ツルハドラッグ系列の全国1800店舗、ウェルシア系列1600店舗が全店参加するのはスゴイです)。

こうした画面にバーコードを表示させて決済する方法は、「アプリ決済」「アカウント決済」もしくは「オフライン決済」とも呼ばれますが、既に中国ではこの方式が支払いの主流になっています。中国のスマホ利用者の多くはAliPay(アリペイ)若しくはWeChat Pay(ウィーチャットペイ)と言うサービスを使っています。AliPayは中国のネット通販サイト「アリババ」の系列会社が始めたもので利用者は1月の時点ですでに5億人以上いると言われています。WeChat Payは中国のメッセンジャーアプリ「WeChat」の決済機能で、日本では同じ仕組みがLINE Payとして既に導入されています。

docomoはこれまで電子決済には「おサイフケータイ」を推して来ましたが、この普及率は存外に伸びていません。利用出来る端末は17年3月の時点で3000万台もあるのに、モバイル決済の利用をしている人は日本では6%程度しかいない、と言う調査結果もあります。主な利用者は20~50代の男性で、60代以上になるとモバイル決済の認知をしてない人も多いという事です。

利用しない人の理由はやはり利用出来る様にする為の設定が面倒である事、機種変をした際に移行させる作業が面倒である事、現金払い以上のメリットが感じられない、電子マネーのサービスに相互乗り入れの機能がない、と言う点がある様ですが、今度のd払いの場合はこれらの不便さが何処まで簡素化出来るかがポイントになるかもしれません。加えて言えば、2020年の東京オリンピックにアジア圏から多くの旅行者が来た場合、彼らは日常的な決済をアプリ決済で行っており、しかもそれはネット接続してないオフライン状態でも使用出来る決済方法ですから、店舗側がちょっと用意をすればすぐに使用可能になります(既にローソンでは17年1月よりAliPayの利用が可能になっています)。

出展:「ロイヤルホールディングス」News Release

既に国内には現金決済に対応しない、クレジットカードか電子マネーでしか支払いが出来ないレストランもオープンしています。これは単に新しい物好き、と言うだけではなく、店舗で現金管理をするスタッフを無くして業務の簡素化を図る、つまり少子高齢化による人手不足を解消する目的もあるのです。d払いはイマイチ普及しない日本のモバイル決済を一気に普及させるカギになるでしょうか。

 

親御さんもうかうかしてはいられないかも知れません。

1月9日のYahooニュースに「子供のiPhone、親が遠隔管理 KDDI」と言うタイトルの記事が投稿されました。

これは親御さんの持っている端末から遠隔操作をすると、お子さんの使用しているiPhoneに対して使用時間の制限を科したり、特定のアプリを使用出来ない様にする事が出来るというものです。こうした端末管理はAndroidスマートフォンではこれまでもあったのですが、iPhoneでもこうした事が出来る様になった、と言うのが大きな特徴と言えます。

で、実はこれが出て来た背景には数か月後に施行される「改正青少年ネット環境整備法」が大きく関わって来ているのです。

青少年ネット環境整備法自体は2008年に成立している法律で、18歳未満の青少年が携帯電話を使用するに際してはフィルタリングサービスの適応が義務付けられる、と言うものでした。しかし実際にはフィルタリングの利用率は広がらず、昨今では中学生の72%、高校生の95%がスマートフォンを持つに至っているにも拘わらず、フィルタリングのスマートフォンでの利用率は45.2%と全体の半分にも至っていません。

そこで2017年6月に「改正青少年ネット環境整備法」が成立し、1年を経たずに施行される、と言う事で、春からの新入学に合わせた学割プランの始まりに合わせて法律に則った規制が始まるという事なのです。

「改正青少年ネット環境整備法」施行後は、これまでの様な契約者単位での適応ではなく、誰が実際に使うのか、使用者についても問われる事になります。そして18歳未満の青少年が使用者であるという場合、フィルタリングを掛ける義務が携帯電話会社に課せられる事になります。つまり今後は携帯販売の際に18歳未満の青少年が使用する事が事前に明白になっている場合は、販売の段階でフィルタリング設定されている事が標準になる、と言う訳です。

勿論フィルタリングをしない設定も選択出来ますが、それには保護者の同意が必要になり、より保護者の判断、責任が明確化される、と言う事にもなります。

auでは今回の改正法の施行を受けて「あんしんフィルターfor au」の機能を拡充とiPhoneへの対応をいち早く発表しましたが、この動きはおそらくdocomoやソフトバンクにも波及するでしょうし、法的な拘束力がある以上、格安スマホにおいても同様の対応は必要になるでしょう。

親御さんたちも「よくわからない」では看過出来ない時代になって来たといえそうです。

「悪質」なのか「過ぎた配慮」なのか、判断が難しいですね。

「iPhone6」の画像検索結果

年末からスマホ/ケータイ業界で話題になったのがAppleの「旧型iPhoneに対して、動作速度を意図的低下させていた」問題です。

事の発端はある「iPhone 6s」ユーザーが、iOSをアップデートしたら動作が遅くなった、とアメリカのソーシャルブックマークサイト(Webサイトへのリンクを収集・公開し、会員登録すれば記事の投稿やコメント付けも出来る、一種の掲示板型Webサイト)Reddit(レディット)に12月9日に投稿したこと、そしてそれをきっかけにカナダの開発者、PRIMATE LABSが実際に計測データを取ってみると、iOSアップデート前と後では明確な差異が出ている事が判ったのです。

この結果を12月12日に問題として明確にし、Appleは20日、この減速問題が発生する事を正式に認めて謝罪するに至ったのです。

何故Appleがこのような対応をしたか、と言うと、バッテリーの経年劣化による突然のシャットダウンを防ぐ為、とあります。確かにiPhoneユーザーの中には「20%位バッテリー残があるはずなのに急にシャットダウンした」と言う様な話を間々聞く事があります。現在スマートフォンに使われているリチウムイオン電池は小型軽量で高電圧を得られる、メモリー効果がなく自己放電も少ないので長寿命に使える、と言うメリットがある一方で、急速あるいは過度な充電をすると電池を急激に劣化させる事になってしまい、最悪の場合は発火、破裂の危険も含んでいます。また寿命を終えたリチウムイオン電池は内部にガスが溜まって膨張してしまい、結果的にiPhoneそのものを破壊する事にもなってしまいます。

Appleとしてはこうした危険を避ける為に、旧型機種に新OSを適応させる場合は意図的に動作速度にブレーキをかけていた、と言うのです。しかしこれまでそのことは公開せず行ってきたので一部には「新型機種に買い替えをさせる為にやった悪意のある行為」ともみられています。

Appleとしては信用回復に努めるとして早期に謝罪をした上で2018年1月~12月までの間、iPhone6以降のモデル( iPhone SE、iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone X)のバッテリー交換料金をこれまでより5600円値下げして3200円で希望者全員に実施すると発表しました(但し非正規品バッテリーは対象外)。

個人的な感想を言えば、この様な『仕込み』を事前に開示してないAppleにも問題はありますが、iPhoneには非正規の修理業者やDIYの修理キット/パーツも販売されており、Appleの想定外のサポートをされているとなるとそれらに対してのケアもある程度しなければならない、と言うジレンマの結果がこのような事態になったのでは、と思ったりもします。

ともあれ、iPhone6以降のユーザーの方は年内なら調子の善し悪しに関わらず低価格でバッテリー交換してもらえますので、検討されてみてはいかがでしょうか。

2018年1月
« 12月   2月 »
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031