2017年 6月

先週のネットの中では大きな話題になりました。

メインボードは東芝製(写真はドン・キホーテプレスリリースより)

ディスカウントストアの大手、ドン・キホーテは6月15日から自社のプライベートブランド(PB)で高画質の50型4Kテレビを発売しました。

4kテレビとはこれまでのフルHDテレビ(横1920ピクセルx縦1080ピクセル)の4倍の解像度を持つ超高解像度テレビ、になります。4倍の解像度、と言う事は縦、横のピクセル数が2倍づつになればいい事になりますから、横3840ピクセルx縦2160ピクセル、となり、横辺の3840ピクセルが約4000と言う事で、k=キロ=1000、になるので「4K」と呼称しています。

さて、一般的な家電メーカーの4kテレビとなると大体10万円超、海外メーカーの安価なものでも8万円程度はする、結構高額な買い物になるものですが、ドン・キホーテのPBで販売された4kテレビは税抜価格で54800円、と海外メーカーの廉価モデルよりも更に安い価格で販売されるとあって、それだけも大きな注目を浴びました。

しかし、購入したユーザーがその内容をネットに挙げたところ、更に人気に拍車がかかってしまったのです。

実はこの4kテレビ、内部の電子回路基板に東芝の液晶テレビ「レグザ」シリーズに使われてたものと同じもの(但し現行機種のものではなく、旧機種で採用されてたもの)が搭載されており、機能設定の画面や電子番組表がレグザのそれと全く同じものが表示されるのです

IT業界では先般、デジタルデバイスのベンチャー企業のUPQ(アップキュー)が50インチ4Kディスプレイ(ディスプレイなのでテレビチューナーは搭載されてない)を75000円で販売し、これが120Hzの高速リフレッシュレートを持つ事で注目されてた(リフレッシュレートが高いと高速で画面の書き換えが行われるので、動きの激しい映像でも残像が残らずにくっきりと表示が出来る。特に映像マニアやゲーマーには好まれる)のですが、実際にはそのリフレッシュレートは半分の60Hzであった事が発覚し、これに対して120Hzで動作する商品への交換や返金が行われず、2000円分のAmazonギフト券が返金されるだけ、と言うお粗末な対応で批判炎上になったばかりだったので、ドン・キホーテの4Kテレビも『家電メーカー外の安価なモニタ=安物でダメなもの』と警戒されていたのです。

「Q-display 4K50X」

↑UPQの4kディスプレイ『Q-display 4K50』

しかし実際には東芝製の『レグザ』とほぼ同等の性能を持つ4KテレビがUPQのモニターよりも安価で高性能である事が分かったため、後発薬を表す「ジェネリック」と掛け合わせて、「ジェネリックレグザ」と呼ばれている様になったのです。

こうした高評価を受けて、ドン・キホーテの4Kテレビは用意された3000台が完売、予約生産に切り替えたのですが、それでも追いつかない状況で6月20日以降は予約も出来ない状態だそうです。

やはりいいものが安価で買えるのは消費者にとってはいい事ですね。

 

さようならYahoo…

「Yahoo」の画像検索結果

と言っても、日本の話ではありません。アメリカのYahoo.comのお話です。

アメリカ時間の6月13日、アメリカのYahoo.comはアメリカの携帯電話会社のベライゾン・コミュニケーションズに中核事業であるネットサービスに関する部門を完全に買収され、事実上解体されてしまいました。

主力事業を失った米Yahooは社名を「アルタバ」に変え、日本法人のYahoo Japanや中国のネット通販最大手アリババグループの株式を管理する投資会社になり、一方買収されたネットサービスの部門は新しく設立される会社「オース」に、傘下にあるAOL(アメリカ・オンライン)と共に統合され、ネット広告の強化に乗り出すそうです。

日本の皆さんには馴染み深いYahooですが、元々は95年にアメリカで始まったベンチャー企業です。そこにソフトバンクの孫正義氏が2億円の出資と日本での経営権を得て、現在の日本のyahoo.co.jpが出来たのです。

その後の日本でのYahooの発展は皆さんもご存じの通りですが、アメリカのYahooは最初の数年こそ順調に伸びていきましたが2000年前後を境に凋落が始まっていきます。

アメリカYahooの凋落の要因は大きく3つあります。

1つは検索エンジンに関する考え方です。

アメリカYahooは設立当初から検索の為のデータ収集は人力で行っていました。つまり、webサイトの善し悪しの判断を最終的には人間の判断に委ねていたのです。

しかしこれは後に登場したGoogleによって打ち壊されてしまいます。Googleはクローラーと呼ばれるwebサイトのデータを自動収集/整理するプログラムを作り、これを元にしてより効率の良いweb広告を作りだす技術でYahooの検索システムと対抗し、勝利しました。

結果的にYahooは自社でも同様のシステムを作る事になるのですが、その間は一時的にGoogleの検索結果をそのまま使う事になり、これによってGoogleの検索結果の信頼性があがり、Yahooの検索結果はGooleには敵わないとなってしまったのです。

2つ目は検索以外のサービスが充実できなかった点です。

日本のYahooではオークションやショッピングと言った、ネットにあるあらゆるサービスがYahoo1つで賄えるほど充実しているのに対して、アメリカYahooはあくまで検索が主であるとして、他のサービスはあまり重要視されてきませんでした。これが集客力の低下と言う事態になり、一度はアメリカでのネットオークション最大手のイーベイと合併する話も合ったのです。この合併も最終的には白紙撤回されてしまい、以後はそのまま縮小>終了となってしまったのです。

3つ目はスマホ時代の到来に対応出来なかった点です。

もっとも、スマホ時代に対応出来なかったというのは、昨今の大手ネット企業の凋落(例えばUstreamなど)について回る話です。いずれの場合も、経営のトップがスマホの需要について、PCほどに伸びるとは考えておらず、しかしiPhoneをはじめとしたスマホ市場の急激な伸びと言う現実に対して、気が付いた時には後の祭りになっていた、と言う事なのです。

さて日本のYahooですが、アメリカYahooとは完全に別会社ですので、この件に関しての日本でのYahooのサービス自体が終了する事はありません。ただ、日本のYahooの株式の30%前後はアメリカYahooから社名変更した「アルタバ」によって管理される事になりますし、「Yahoo」と言うブランド名についてはアメリカのベライゾンが管理する事になります。

もしベライゾンとの間に何かあれば、Yahooと言うブランド名が使えなくなる、なんて事にはならないでほしいですが、どうでしょうかねぇ。

 

この遊びなら、おじいちゃん、おばあちゃんでも孫達に勝てるかも知れません。

6月1日~4日まで、有明の東京ビッグサイトにて『東京おもちゃショー2017』が開催されました。このショーでは毎回、今年の下半期から来年にかけて登場する予定のオモチャが一堂に会され、実際に手に取って試してみる事が出来るのですが、同時にこのショーは実用化出来るIoT(Internet of Things / モノのインターネット)機器に触れる事が出来る、数少ない機会とも言えます。

そんなおもちゃの中で目を引いたのが、IoTけん玉の『電玉』です。

電玉とは、古くからあるおもちゃの一つ、けん玉に電子回路を組み込み、新しい遊び方が出来る様に作られた最新のおもちゃなのです。

分解写真を見てもらえばわかりますが、本体の軸内に電子回路、球の内部と本体内にセンサーが組み込まれており、球が皿に乗ったり剣に刺さったりすると、その様子が内部回路を通じて連動設定されたスマートフォンアプリ上の3Dモデルに反映する、と言うのです。

このスマホアプリには色々な遊び方(プレイモード)がありますが、ユニークなのは対戦モードがある事です。2台の電玉をアプリに登録する事で、まるでけん玉がゲームコントローラーの様になり、技を決めると相手側を妨害出来るという様な形で勝敗を決める事が出来ます。

更にこの対戦モードはインターネットを通じてこの場にいない、世界中の電玉プレイヤーとも体制が可能、と言うので、それこそ地方済んでいるおじいちゃんと都市部に住んでいるお孫さんが、ネットを通じてけん玉勝負をする事も可能、と言う事になります。

勿論1人でも遊ぶことは出来ます。出された課題をクリアしてレベルアップを楽しむ「クエストモード」、習得する技を決め、何回でも練習する「プラクティクモード」もあります。

電玉は既にAmazonツクモオンラインショップで購入可能、スマホアプリはAndroid OS5、またはiOS8が動作するスマホで動作可能です。

この電玉に限らず、これまでネット接続出来なかった機器がインターネットに接続して新しい可能性を見出す、いわゆるIoTと呼ばれるものが今後ますます普及していく事になります。

先日も携帯電話会社のauがこの夏から『au HOME』と言うサービスを始めると発表しました。

中でも今後の提供予定デバイスとして、宅内の赤外線リモコンで動作出来る機器に対応する、スマホ接続が可能なリモコンデバイスの販売を計画しています。このリモコンを宅内に設置してネット接続出来る状態にしておけば、照明やエアコンを出先からスマホでコントロール出来たり、テレビの留守録をさせたり、も可能になるそうです(但し、このサービスはauひかり加入者に限定したサービスになります)。

IoTはこれからもどんどん普及していきます。どんどんネットに繋がっていく、そんな時代になりつつあります。

年末にかけて、IT業界新製品のトレンドは「スピーカー」です。

日本時間の6日未明、Appleは開発者向け会議「WWDC2017」を開催し、冒頭の基調講演でこれから秋、年末に向けて発売開始される新商品をいくつか発表しました。

新型のiPad Proや高性能になったデスクトップパソコンのiMac Pro等興味深い製品が並ぶ中、ある意味で他のどの製品、どのサービスより注目されるのが、Siri搭載のホームスピーカー「Home Pod」です。

Home Podは高さ172㎜、直径142㎜の円筒形で重さは2495gあります。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色。

その内部には4.0インチウーファーを上向きに設置し、本体下部に6方向に向いた6つのスピーカー、中ほどには6つのマイク、そして内部にはiPadやiPhoneにも使われてたA8と言うCPUが搭載され、Appleの音声アシスタント「Siri」が動作する様に作られています。

ではこのスピーカーをどうやって使うのか、と言うと、当然ですがスピーカーですから音を鳴らす事が出来るのですが、その操作を全部音声で行う事が出来るのです。

Siriと言うiPhoneやiPadにも搭載されている音声アシスタントをこのスピーカーも搭載されているので、「Hey!Siri」と呼びかけ「音楽を再生」と音声で命令すれば、その通りに動作する、と言うのです。音楽についてはAppleの場合はApple Musicと言う定額聞き放題のサービスがありますから、これと連動する事も可能、と言う事になります。

この他にもニュース、ポッドキャスト、天気予報、スケジュール(リマインダー)、タイマーにも対応しますし、IoT家電にも対応するので、「電気を消して」と言う様な命令も実行出来る様になる、と言うのです。

気になるのはお値段ですが、現在の予定価格は349ドルなので、日本円にすると約4万円位になります。但し、販売開始は今年の12月頃、アメリカ、イギリス、オーストラリアで、となっており、日本での販売開始は未定です。

実は今現在、アメリカの大手IT企業はこぞってこの手のインテリジェント・スピーカーの開発、販売を手掛けています。

検索最大手のGoogleは「Google Home(109ドル)」、通販最大手のアマゾンも「Amazon Echo(最廉価モデルは179.99ドル)を発表しています。先行する2製品に比べ、AppleのHome Podはちょっとお高めですが、そこはAppleの事ですから、価格に見合う他社製品にないポイントがあるのでは、と思います。

いずれにしても、今年の後半はインテリジェント・スピーカー戦国時代になりそうです。

 

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