2018年 2月

プロ野球中継もネットの時代です。

かつてはプロ野球中継は春から秋にかけて、地上波テレビ放送のキラーコンテンツでした。ゴールデンタイムの放送枠はプロ野球中継の放送を中心に編成され、野球中継の前ではレギュラー放送される番組も道を開ける、必要なら放送枠以降の時間帯も延長と言う形で追いやられ、深夜の時間帯の番組はそのあおりを受けて放送中止になる事もよくある話でした。

しかしいつから、野球放送は地上波テレビでは放送されなくなり、衛星放送やCS放送で見るコンテンツになってしまいました。

そして2018年の今、プロ野球中継も大きく変わろうとしています。

スポーツライブの大手サイト「DAZN(ダゾーン)」は2月上旬に、2018年に中継するコンテンツを発表しましたが、この中で新しくプロ野球11球団のオープン戦の一部と公式戦主催試合を放送する事を発表しました。この11球団というのはパシフィック・リーグ(パ・リーグ)の6球団と読売ジャイアンツを除くセントラル・リーグ(セ・リーグ)5球団を指します。また中日ドラゴンズの公式戦で放送するのは「主要試合」とされており、全ての主催試合は放送されないので注意が必要です。広島東洋カープの試合では放映権の関係で「広島県内及び一部地域ではライブ配信を視聴できない」とされています。

DAZNではこれまで広島東洋カープと横浜DeNAベイスターズの試合は放送をしてきましたが、今年からはそれが一挙に拡大する、と言う事になります。

l_st52693_dazn-01プロ野球のネット中継は元々テレビ中継の本数自体が多くなかったパ・リーグの方が早くから積極的に取り組んできた経緯があり、2005年にダイエーホークスがソフトバンクに買収されソフトバンクホークスになった際にはグループ会社のYahoo Japan内のサービス『Yahoo動画』にてパ・リーグ公式戦、及びセパ交流戦のうちパ・リーグ主管試合を無料中継していました。

2010年からはYahoo動画はUSENの動画サービス『GYAO』と統合してYahoo Japan傘下の動画サービスになり、これを契機にパ・リーグの試合中継は『パ・リーグライブTV』として独立、2012年には『パ・リーグTV」に改名、スマートフォンやタブレット端末でも楽しめるサービスへとバージョンアップされてきました。

一方セ・リーグ側はこうしたリーグ全体でネット中継を、と言う動きが低く、ジャイアンツは独自のネット中継サービス『ジャイアンツLIVEストリーム』を提供しており、また親会社の日本テレビがネット動画配信サイト『Hulu(フールー)』と提携している関係で、こちらでも主催試合の中継が視聴できます。一方、阪神タイガースは『虎テレ』、広島東洋カープは『カープ動画ライブ』と言う独自サービスを提供しており、横浜DeNAベイスターズの場合は無料の『ニコニコ生放送』や『AbemaTV』で主催試合をネット配信するという足並みのそろわない状態が続いていました。

そんな中でもソフトバンクが提供している『スポナビライブ』と言うサービスを使えばジャイアンツとカープの主催試合を除く、10球団の試合をネット視聴する事が可能でした(但し、ドラゴンズの一部公式戦は対象外、またスワローズの試合はライブ配信のみ視聴可、見逃し視聴は出来ない等の制約あり)。

このスポナビライブが2018年5月31日をもってサービス提供を終了する事が2月8日に発表され(新規申し込み受付も2月13日で終了)、持っていたコンテンツとの引受先がDAZNに決まった、と言う訳です。視聴契約者もそのままDAZNに引き継がれ、本来DAZNの利用料金は月額1750円なのですが、スポナビライブ契約者はdocomo契約者向けの特別プラン「DAZN for docomo」と同じ利用料金の月額980円で視聴が出来ます。

DAZNはイギリスのパフォームグループと言う国際スポーツメディア企業が2016年に立ち上げたスポーツ専門のネット動画配信サービスですが、日本では2017年からJリーグ(J1~J3)の全試合を配信する放映権を10年2100億円で契約した事が話題になりました。サービス開始当初こそトラブルによって視聴出来ない試合もありましたが、以後はトラブルもなく全試合が問題なく中継されています。さてプロ野球中継はこうした躓きはあるのでしょうか。ない事を祈りたいですが。

 

老眼の人間には、待ちに待ってたモノですね。

これもある意味スマートグラス。ワンタッチで遠近切り替えができる次世代メガネ

三井グループの総合化学メーカーである三井化学が2月2日に興味深い新商品を発表しました。なんと、フレーム部分にワンタッチする事で焦点距離を変更出来る遠近両用メガネなのです。

名前は「Touch Focus」といい、15日には販売を開始するとの事です。

一体どういう構造になっているのか、と言うと、この眼鏡のレンズは9層構造になっており、薄いレンズの間に液晶の膜が挟んであって、メガネの弦部分に仕込まれたタッチセンサーに触れる事で液晶膜に電気が通り、液晶内の分子配列が変化、これによってレンズの屈折率が変化するので、遠近両用メガネとして使い分けができる、と言うのです。

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タッチセンサーで通電する、との事ですから、当然ながら電池が必要になりますが、この電池部分も弦の先、耳に掛かる部分に取り外しが可能な小型充電池を仕込んであり、この電池も1回の充電で10時間ほど使用出来るとあります。

もっとも電池を消費するのは手元の近く(リーディングゾーン)で見る時だけで済む、遠くを見る時には再度タッチして屈折率をもどすので電池は消費しない、との事なので、リーディングゾーンの使用が1日平均1時間程度であれば、1回の充電で1週間程度は使用出来る、と言う事です。

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また充電器は一般的なUSBポートに接続するタイプなので、パソコンで充電、若しくはスマートフォン用の充電器を使って充電する事も可能です。

なおこの技術は2013年にパナソニックから買収した技術を改良したもの、と言う事です。

境目なしの累進多焦点、二重焦点、三重焦点などの種類があります。これまでの遠近両用メガネのレンズは、遠距離用のレンズの中に「小玉」と称する近距離用のレンズを組み合わせて作る二重焦点タイプ(更に加工をした三重焦点もあります)か、両者の境目を可能な限り無くする様に加工した累進多焦点タイプか、に分かれました。

しかし二重焦点タイプの物は加工が難しく、累進多焦点タイプの物は足元の視界が歪んで見えると言った問題があり、これらの問題を解決する為には普通の眼鏡と老眼鏡をかけ替えるか、裸眼と老眼鏡を使い分けるか、と言った工夫位しかこれまでは出来ませんでした。

この新しいメガネレンズが出てくれば、1つの眼鏡を瞬時に遠距離用/近距離用に切り替え出来るので非常に便利になるであろうと思われます。

気になるお値段の方は…税別で25万円、となっています。

些かお高い気もしますが、20種類のフレームが選べて、度数のカスタマイズも出来るのですが、その品質を保証する為に三井化学の名古屋工場でレンズの製造から眼鏡の組み立てまで手掛ける=生産規模がまだそれほど多くはない、と言う事なので、量産化が出来る様になればもう少しお安くなるかもしれません。

2月15日以降は日本橋三越本館7階眼鏡サロン他、都内数店の東京メガネの店舗、名古屋、神戸の眼鏡店で購入する事が出来ます。全国販売は18年秋ごろから、19年春ごろには全国100店舗で販売されるそうです。

遠近両用の眼鏡を作ると、人によっては3万円も5万円もしてしまいますけど、その位の価格でこの様な眼鏡が購入出来る様に早くなってほしいですね。

 

これを「スポーツ」と呼ぶ事にどれだけの人が拒否感を感じるでしょうか。

2月1日、日本国内におけるeスポーツ産業の普及と発展を目的とした新団体「一般社団法人 日本eスポーツ連合」(JeSU)が設立され、即日活動を開始しました。

eスポーツとは何か、と言うと「エレクトロニック・スポーツ」の略で、いわゆるコンピュータゲームを一種のスポーツ・競技と捉える際に用いられる名称です。

コンピュータゲームと言ってもこの場合扱われるのは素早いボタン操作、瞬間的な判断力、画面上を広範囲に認識、識別する視力と処理能力が求められるゲーム、且つネットワークを介して複数のプレイヤーが同時に対戦出来るゲームを対象としています。家庭用ゲーム機やスマホ用ゲームは基本的には対象外ですが、後述するプロライセンス発行対象ゲームにはこれらのゲームも一部含まれています。

こうしたゲームでは日本では一部のマニアの楽しみという範疇でしか認識されていませんが、世界では多くのプレイヤーが集うゲーム大会も催されており、大会優勝者には高額な賞金や賞品が提供されていますし、2017年ドイツで開かれた五輪サミットの席上で国際オリンピック委員会(IOC)はeスポーツを五輪競技化に向けて前向きに検討する旨の発表をしています。

つまり、こうしたゲームは今後、ゴルフの様な『賞金の掛かったプロスポーツ』と同様にみられる可能性がある、と言う事になるのです。

早ければ2024年のパリ大会(東京オリンピックの次に開催予定されている大会)でeスポーツはオリンピック種目に選ばれる可能性があるともされていますが、その場合、現状では日本はeスポーツの種目に選手を派遣出来ないという問題がありました。と言うのも、オリンピックでその競技に選手を派遣する場合は国内で競技団体やプロリーグを統一した状態でないとならない、とされているからです。

これまで日本国内のeスポーツ関連団体は、日本eスポーツ協会、e-sports促進機構、日本eスポーツ連盟の3団体が乱立していた状態でした。しかしこれではオリンピック競技化されても日本選手は派遣出来ない、と言う事でこの3つの団体が統合し日本eスポーツ連合が設立されたという訳です。

今後この団体は主な活動内容としては

・eスポーツ新興に関する調査、研究、啓発

・eスポーツ競技大会の普及

・大会におけるプロライセンスの発行と大会の認定

・選手育成支援と地位向上

・関係各所との連携

を予定し、段階的に取り組みを進めていくという事です。ただ一部では問題も指摘されており、プロライセンスについての年齢制限がある事、プロライセンス発行対象になっているゲームが6タイトルだけである事、しかもそのうち2つはパズルゲームなので果たしてeスポーツの範疇に加えるべきなのかを疑問視する声が多い事、等々、まだまだ解決しなければならない問題は多そうです。

取りあえず、2月10日、11日に幕張メッセで行われる、eスポーツ連合主催のゲーム大会『闘会議2018』ではライセンス発行対象になっているゲーム大会も行われ、上位入賞者にはその場でライセンス発行と言う事もあるかもしれません。

中高年には若干理解しがたい状況かもしれませんが、今後は家から出ない引きこもりでもeスポーツのプロとして生きていく事が出来る時代が来るかもしれません。

 

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