こんな所でもネット時代を感じることが出来るでしょうか。
第153回芥川賞を受賞した、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹作の小説「火花」が映像化されました。
と言っても、それを見れるのはテレビでもなく、映画でもありません。
インターネットで動画配信をしているwebサイト「NetFilx」で視聴出来ます。
ここ数年、日本でもこうしたネットを介した動画配信サイトの大手がアメリカから進出し、着実にユーザーを増やしてます。アメリカでは元々、電波を使ったテレビ放送の他に、契約視聴者だけ楽しめるケーブルテレビがあり、これを利用するユーザーが地上波テレビの利用者より多い、という事情があります。やはり国土面積が広大で国内でも標準時刻が4つある国(ハワイ、アラスカも含めると6つ)なので、生放送で全国民が同時にテレビを視聴するのにはそれだけでも時差を考えないといけない、と言うのがあり、また好きな時間に好きな番組を楽しむ事を考えると、より自由な視聴方法が可能なケーブルテレビが普及する、と言う訳です。
そこにインターネットが加わる事でより自由に、より好きな時間に好きな番組を視聴出来るサービスが可能になった、そして誕生したのがこのNetFilxやhulu(フールー)、Amazonプライムビデオです。
さて、日本でもこれまで多くのネットによる動画配信サービスがありましたが、これらのサービスとアメリカ発動画配信サービスの一番大きな違いは「自社製作のオリジナルコンテンツがある事」です。
▲huluオリジナルドラマ「フジコ」予告編
▲Amazonプライムビデオ オリジナルドラマ「はぴまり~Happy Marriage!~」予告編
日本の動画配信サービスはいずれも過去にテレビ放送された、映画公開された映像を視聴出来る、所謂レンタルビデオの延長の様なサービスばかりでした。しかし、アメリカ発の動画配信サービスは積極的に自社制作のコンテンツを配信しています。
なぜこのような事が出来るか、と言うと、まずはオリジナル作品を持つ事での他社との差別化が出来る、と言う点、ネット配信なので世界規模での販売に期待できる点等がありますが、一番大きいのは表現の自由度が高い点です。
例えばテレビドラマの場合、当然ながらスポンサーが付きますが、と言う事はそのドラマの中でのスポンサーのライバル会社の製品を小道具には使えませんし、スポンサー会社の製品であってもこれ見よがしに映し出すのも聊かはばかられます。
また残虐シーンや性的な表現も、現在のテレビ局では表現規定がより厳しくなっています。
しかし、ネットによる動画配信の場合、視聴者と有料視聴契約をして、そこから製作費を捻出しているので、従来の様なスポンサーへの気遣いは不要になり、表現の規制もネット配信ではハードルが低く、より作品の趣向性を高める事が出来るのです。
こうした自由な製作現場が映像制作側にも支持され、今ではハリウッドの映画製作会社も積極的にネット配信専用映像の製作に乗り出しています。
また、これらのサービスは再生するデバイスを選ばないのも強みです。基本はwebページを介しての接続、視聴なのでパソコンでの視聴になりますが、スマートフォンやタブレット端末でも専用のアプリを使う事で視聴が出来ますし、大画面テレビでもテレビそのものが対応していれば視聴が出来ます。非対応テレビの場合はテレビに接続する機器、例えば家庭用ゲーム機(PS4、PS3、Wii U、Xbox360)の追加機能を使う事で視聴が可能になりますし、セットトップボックス(AppleTV、Amazon FireTV、Google ChromeCast、NexusPlayer等)をTVと接続して視聴する事も出来ます。
「火花」もこうしたオリジナルネット配信映像の日本発として、世界に注目される様になるといいですね。