1月24日のトピック

中国との間でネット通信してる人には、少々頭の痛い話です。

中国の行政機関、工業情報化部は現地時間で1月22日、行政の許可を得ない違法な仮想プライベートネットワーク(VPN、Virtual private network)の監視体制を強化する、と発表しました。

これにより、中国から/中国へのインターネット接続はかなり厳しくなることが予想されます。

VPNとはインターネットの中に他者からの盗聴、盗み撮りをされる心配のない、安全なネットワーク接続を構築する技術です。

こうしたネットワークの構築の仕方は主に遠方に支社のある会社が安全な社内ネットワークを構築する為に用いる場合に使われますが、近年では海外旅行者がその国での安全なネット接続を担保できない様な場合にVPNを介して日本国内のネットに直接接続出来る様にして、安全性を確保する為に用いられる場合もあります。

またスマートフォンやタブレット端末にはネットワーク設定の中にあらかじめVPNの設定が出来る項目があり、日本ではあまり一般的ではありませんが、海外では個人でもVPNサービスを有料で利用出来る会社もあります。これにより渡航先からでも安全なネット接続が可能になる、その国で制限されているネットサービスも利用出来る、と言う訳です。

さて、なぜ中国がこうしたVPNを制限するか、と言うと、その大きな目的はGoogleの各種サービス(検索、GMail、Google+等)、YoutubeTwitetrFacebookと言った世界的なSNSサービスへのアクセスを制限、監視する事に有ります。

2010~2012年頃、中東の各国で大規模な民主化運動が勃発し、それまでの独裁政権が倒され、民主化運動が促進された、いわゆる「アラブの春」と言う現象が起きましたが、この現象を後押ししたのがFacebookやTwitterによる参加者の連携、連絡でした。

また中国では南京大虐殺や天安門事件についての情報はネットで検索してもその情報が閲覧できない様に、検索サーバーに制限がかけられています。Twitterに至っては、2009年に本家のTwitterが中国内でアクセス遮断され、現在ではこれに似た独自のサービス「新浪微博(シナ・ウェイボー/weibo)」が展開しています(Twitterとの直接の関係はありません)。

こうした国家による情報統制の抜け道としてVPNによって国家の監視を免れるネット接続方法、と言う方法があったのですが、しかし今後はこの措置により、VPNの利用は非常に制限を受ける事が考えられます。

実際、これまでもこうしたネット接続の制限のある国からのネット通信が自由に出来る様にする、プラネックスの「どこでも日本VPN」なんて製品もあった位です。

家族が中国に長期滞在する、とか、中国との間で頻繁に連絡を取る必要がある、と言う方には少々困った問題になりそうです。

 

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