地震の際のIT利用法

先日の東日本大震災では九十九里海岸も津浪の被害を被り、現在も災害援助法の適応地域となっております。
このお蔭で九十九里町と隣接する市町村は計画停電から免除されており、電力についてはとりあえず安定して供給してもらえるようになっております。

とは言え、地震発生直後から約半日は周辺一帯が停電になってしまい、その間、テレビは見れず、パソコンも起動出来ないしそもそもネット接続機器も動かない、となると情報を得る方法は非常に限られます。

こうした状況の場合、やはり一番役立つ機器はラジオと携帯電話と言えるでしょう。

そこで今回は特別編として、震災に役立つ携帯の使い方をいろいろ見ていきましょう。

 

1・地震が発生する前から携帯は役立っている

 

エリアメールのイメージ画像今回の地震に際して、実際に揺れが来るほんの少し前に携帯に自信を知らせるメールやいつもと違うアラーム音がなったりして驚いた方も多かったのではないか、と思います。

これは現在市販されている多くの携帯電話に備わっている「緊急地震速報」の通知機能が動作したものです。

 

緊急地震速報は地震が発生する直前に発する二つの波(P波、S波)のうち、先に出るP波を観測所が検知すると、その情報を気象庁に送り、そしてS波が来るであろう地域に向けて地震が来る事を知らせる物です。

 

TVやラジオの他、防災無線端末や専用端末を通じて速報が知らされますが、2008年以降に発売された多くの携帯電話にも、この情報を受信出来る機能があります(DoCoMo、auの携帯は殆どが採用している機能ですが、ソフトバンクの携帯は準備の遅れから、対応機種が現時点では831Nのみとなっている)。

※ドコモの対応機種一覧

※auの対応機種一覧

 

こうした情報を受信出来ていれば、「地震が来る」と身構える事も出来る訳ですね。

但しこうした機能も一部の機種では受信設定をしないと受信出来なかったり、マナーモードやドライブモードに切り替えていると鳴動しない、等折角の情報が活かされない場合もあります。

 

ご利用の端末の緊急地震速報に対してのメニュー設定をこの機会に今一度確かめておくとよいかもしれません。

 

2・地震で被災したら音声通話より伝言ダイヤル

 

地震に被災した際によくある光景なのが、安否確認の為の電話連絡が繋がらないという問題です。
現在の電話回線の技術では一度に電話の発着信が集中すると、通話が一時的に出来なくなる場合が多くあります。

こうした場合に有効なのが災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板です。

伝言ダイヤルは各携帯会社共通の 171 に電話を掛ける事で音声で伝言を残す事が出来ます。

伝言を残す場合は次の通りです

1・携帯電話で 171 へ電話
2・音声ガイドに従って、伝言するなら1をプッシュ
3・続いて連絡を取りたい相手の電話番号をプッシュ
4・伝言を吹き込み、最後に1#をプッシュして終了

伝言を聞く場合も同様に

1・携帯電話で 171 へ電話
2・音声ガイドに従って、伝言を聞くので2をプッシュ
3・続いて連絡を取りたい相手の電話番号をプッシュ
4・伝言があれば、音声が再生され、ない場合は伝言がない旨が通知され終了

伝言ダイヤルの場合、パスワード付の伝言を設定する事も出来ます。これにより他人に聞かれたくない様な伝言も残す事が出来ます。

一方、音声通話が使えない場合でも有効なのが携帯電話のネット接続サービスです。
地震直後でもメールを含めたデータ通信関連はまだ有効でした。
こういう場合は電話の復旧を待つまで災害用伝言板を利用するといいでしょう。

登録方法は次の通りです

1・各携帯キャリアのネット通信サービス(iモード、EzWeb、Yahoo!ケータイ)のトップページに災害用伝言板へのリンクが有り、そこからアクセス。
2・登録を選択
3・4又は5種類の定型の文言があるので、それを選ぶ
「無事です。」「被害があります。」「自宅に居ます。」「避難所に居ます。」
4・個別に伝言メッセージを入力出来る欄があるので、必要ならこれを入力
5・登録ボタンをクリックして登録完了

尚、事前に安否情報をメールで送信する相手を登録しておくと、この伝言板の情報を指定の相手に送信する事が出来ます。
また登録の際には自身の携帯電話の番号を入力する必要はありません。
自局の番号は自動的に登録されます。

伝言を確認する場合は次の通りです。

1・各携帯キャリアのネット通信サービス(iモード、EzWeb、Yahoo!ケータイ)のトップページに災害用伝言板へのリンクが有り、そこからアクセス。
2・確認を選択
3・確認したい相手の電話番号を入力
4・伝言がある場合は新しい順番に伝言が表示されるで、読みたい伝言を選択
5・伝言が表示される

伝言板には10件の伝言が入力出来、11件目以降は古い伝言から順次削除されていきます。

 

3・正しい情報を収集する為にも携帯電話は必須

 

地震で被災すると、とかく誤情報、デマの手合いが発生し、惑わされてしまいがちです。
惑わされない為にも、正しい情報を得る事が重要ですが、その為にも携帯電話でのニュース収集力が必要です。

3-1 まずは各キャリアの公式メニューからニュースを見る

携帯各社の提供するネット接続サービスには必ずニュース情報を提供するサービスが有ります。
大概の場合は大手の新聞社やテレビ局等の普段からニュースを配信している機関がこうしたネット接続サービスにもニュースを提供しています。
先ずはこうした大手のサービスからニュースを集める様にしましょう。

3-2 ネット上のポータルサイトもニュースの重要な収集ポイント

YahooやGoogle等、パソコンでも使っているポータルサイトも携帯でそのままアクセスすると携帯用のwebページに転送されます。
現在はこうしたサイトでも地震関連の情報が提供されていますので、これも情報収集には重要なサイトになります。

3-3 小回りの利く情報収集にはTwitterが便利 但し注意も必要

上記の情報サイトでは被災程度の大きな地域のニュースや情報は集まりやすいですが、地元の小回りの利く情報はあまり扱われません。
こうした時に地元や地元周辺の情報の発信/収集に役立つのがTwitter(ツィッター)です。

改めて説明すると、Twitterは日本語で140文字まで入力出来る短文送信サービスです。
文書の短さと誰に当てるでもない内容でもOKなところから「つぶやき」とも言われています。
しかしその短さ、手軽さが逆にフットワークの軽さとなり、被災地の生のつぶやきや生活情報を見聞きする事が出来ます。
又、Twitterは他者のつぶやきに対して返信をしたり、他者のつぶやきを自分のつぶやきの様に繰り返すリツィートという機能、

更に東京電力や首相官邸も最近はTwitterの公式アカウントを持っており、ニュースやWebページと同じ情報がTwitter上で読む事が出来ます。

この他、行政の長や県会議員、市議会議員のTwitterアカウントもあるので、こうした方に直接質問を投げる事も出来ます。

例えば千葉市の熊谷俊人市長は千葉市内の情報の他、千葉県内の色々な情報を常にTwitterで呟いています。

Twitterの情報は携帯からでもアクセス出来、またアカウントが無くても検索してつぶやきを見る事は出来ますが、より定期的につぶやきを見聞きするなら正式にアカウントを作った方が良いでしょう。1つアカウントを作ると携帯でもパソコンでもTwitterは使えます。

 

しかし、Twitterは注意して使わないと、危険性もはらんでいるメディアと言えます。

それは発信するのがあくまでも個人のモラルに依存している点にあります。
つまり、事実に基づかないつぶやき、というものも、Twitterの世界には多数流布されており、何が正しいか、何が正しくないか、は情報の受け手が取捨選択しなければならないのです。

こうした「正しい情報を見極める能力」の事を俗に「メディアリテラシー」なんて呼び方をする場合があります。
そしてこればかりは学んだから身に付く能力、ではなく、日々のメディアの見方、読み方、発し方を練習で学ぶしかないのです。
なので、メディアリテラシーの能力に自信のない方はとりあえずTwitterを読むだけでもいいかと思います。
そして自分でも呟きたいと思ったら、Twitterに投稿してみてください。

 

4・こんな時だからこそ気を付けたい「ウソ、デマ、紛らわしい情報」

 

震災直後に市原市のコスモ石油のコンビナートで火災が発生しましたが、この火災で人体に有害な物質が発生しそれが降って来るから気を付けろ、という内容のメールが跳梁していたのにお気づきでしょうか。

当然そんな事態は発生しておらず、全くのデマだったわけですが、このような大きな災害が起きるとどうしてもこんな未確認情報が跳梁跋扈するものです。

そして現在ではこうしたデマ情報の拡散する速度が以前に比べて格段に素早くなっています。もちろんインターネットによるところが大きいです。

特にメールやTwitterと言った、個人で不特定多数の人に情報を発信できるツールが発達した事は、同時にそうしたデマや嘘、いい加減な情報も瞬く間に伝搬する、という事なのです。

一般にこういう他者への拡散を目的とした連鎖的に起こるメールを「チェーンメール」と呼んでいます。

特に最近は身の安全の為に教えてあげたい、と言う善意からくるチェーンメールが多いのが顕著な特徴と言えます。

こうしたメールを受け取ったら、まずそれを第3者に転送する様な事は絶対にしないでください。

チェーンメールかどうかの見極めは難しい所ですが、往々にして以下の様な特徴があります。

 

1・内容が切迫している(生命の危機に関わるものが多い)
2・しかし具体的な日時が不明瞭な点が多い(明日、来週の様な)
3・情報の発信源は不明確(友人から、知人から、ネットの情報等)
4・広めてください、コピーして回してください、等の添え書きがある

 

こうした情報を広めてしまうと、誤報やデマになってしまうのです。

なので、チェーンメールは受け取っても転送は絶対にしないでください。
またチェーンメールの送信元は往々にして友人知人の場合が多いですが、チェーンメールを知らせる様な返信もしなくていいでしょう。結局それがまたチェーンメール化する原因になりがちですから。

要はそうしたチェーンメールを転送してくる人は不確かな情報に左右されやすい人、ともいえるのです。チェーンメールを転送してきた直後はそうした情報で冷静さを失っていますから、そこに否定的なメールを送るとむしろ友人関係を悪化しかねません。

ほとぼりが冷めるを待ってからチェーンメールであった事を教える程度でいいでしょう。

Twitterにも同様に「拡散希望」という見出しの付いた呟きが出る場合がありますが、これもよく内容を吟味しないと上記の様なチェーンツィート化しやすい傾向があります。
ただ、Twitterの場合、チェーンツィートの出元はある程度追求できる構造になっていますので、メール程極端なチェーン化はしないようです。

とは言え、チェーン化したメールや呟きはやはり迷惑そのものです。厳に慎むべきでしょう。

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