2017年 11月 27日

とうとうこのような施設が出来る時代になって来ました。

今月27日、徳島市にある特徴を持った図書館がオープンしました。

名前は「みる会図書館徳島館」と言います。図書館自体の広さは約6平方メートル、徳島市内のオフィスビルの2階、約400平方メートルのコワーキングスペース(事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイルを指す場所。レンタルオフィス等と異なり、作業環境は図書館の様なオープンスペースになっている)の一角を使って開設されるこの図書館には紙の書籍は一切ありません。

実はこの図書館は蔵書が全て電子書籍になっており、専用アプリをインストールしたスマートフォンやタブレット端末を使って電子書籍を閲覧する図書館なのです。

書籍データそのものはサーバーコンピュータに保存されており、アプリを組み込んだスマートフォン、タブレット端末とは無線LANを介して接続する事で書籍の閲覧が可能、と言う訳です。

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端末については図書館側の用意している端末もありますが、専用アプリは誰でも自由にダウンロード出来るので、利用者が自身のスマートフォンにアプリをインストールする事でも閲覧できます。

肝心の蔵書の方は漢詩やコンピュータープログラムの入門書など90冊ほどになり、これは館長の佐野誠一さんが自分の本を1ページづつスキャナで読み込み電子化した、いわゆる「自炊本」になります。なのでここは、図書館と言っても公的なものではなく、『徳島に電子図書館をつくってみる会』と言う特定非営利活動法人が開設した私設図書館なのです。

システム構造上、館外への貸出は出来ません。図書館内で無線LANに接続出来る環境を作った上で閲覧する事になりますし、また図書館の蔵書を館外に貸し出すには著作権料の支払いも発生するので、この問題をクリアできないと貸出は出来ない様です。

また私設図書館の設立自体には認可制度はないのですが、図書館法と言う法律があり、これに則った施設づくりが求められ、運営組織も必要との事で社団法人の設立となったそうです。

電子書籍だけの図書館と言うのは、日本ではこの徳島市の例の様に非常に珍しいものですが、電子書籍の先進国であるアメリカでは電子書籍の貸出サービスが国内1万以上の公立図書館で実際に行われています。

電子コンテンツには一定時間を超えるとデータ自身が自動消去されるタイマー機能が付与されており、この機能を数日~数週間で設定すれば一時的にコンテンツが利用出来て、しかし利用者の所有物にはならない、と言う意味においてレンタルと同じ事が出来る、と言う訳です。この様な電子書籍データを用意出来れば、電子書籍だけの図書館も技術的には可能です。

ただ日本の場合、本の扱いには再販制度の問題、図書館については図書館法による制限、そして昨今では作家や出版社が「図書館があるから新刊本が売れない」と言う議論も持ち上がっており、それを思うと中々問題は山積みの様ですね。

 

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