2017年 10月 10日

来年以降は皆さんの生活にも影響して来ますよ。

10日午前7時、種子島宇宙センターからH2Aロケットが打ち上げられ、1台の人工衛星の軌道投入に成功しました。この人工衛星は「みちびき4号」と言い、日本版のGPS衛星として注目されています。

9月20のトピックでも取り上げましたが、現在、世界では自身の位置を測地する為にGPSと言うサービスを使っていますが、このサービスは元々米軍が現場の兵士達の位置情報を得る為に用意したサービスで、これを民間でも使用出来る様に開放している、と言う物です。

しかし本来GPSは米軍のものなので、作戦行動がある場合は米軍によって意図的に制度が落とされる事があります。これはGPSを全世界的に開放した事は、米軍に敵対する組織もGPSを使える、と言う事になるので、米軍としては敵に塩を送る様な事は出来ない=GPSの精度をコントロール出来るからそうしてしまおう=米軍とは敵対してない人達も迷惑を被る、と言う事になるのです。

この他にもGPS衛星本来の特性である「GPS衛星が3機以上頭上に来ないと正確な測地が出来ない」と言うのも問題があります。GPS衛星は約30機ほどありますが、全世界を一定起動で周回している人工衛星なので、常に日本上空に3期以上の衛星があるとは限らないのです。

みちびき」はこうした米軍の都合に左右されがちなGPS衛星を補完し、より正確な日本国内での位置測地を可能にする為に打ち上げられた衛星なのです。

その特徴は「準天頂軌道」と呼ばれる大きく楕円形を描く衛星軌道です(この起動はあくまで地上から見た時にこの様に見える、と言うもので、実際に楕円軌道を描いている訳ではありません)。

天頂、とは天の頂点と言う意味になります。みちびき」の人工衛星は常にこの天の頂点付近にいる様に見える、と言う事になるのです。つまり日本国内で衛星による位置測地をする上では米軍のGPS衛星より正確な測地が可能であり、かつ「みちびき」は内閣府の管理下で運用されるので、米軍や自衛隊の活動の影響は受けにくいという事にもなります。

実際に、「みちびき」による測地誤差は4基の衛星を使う事で最小6センチまで減らす事が可能になります(GPSの場合、標準的な誤差の範囲は約10メートル)。

今回の4号機の打ち上げ成功によって「みちびき」は2018年度以降はオープンサービス運用が可能になり、2023年までは7基での運用体制になり、より正確な測地が出来る様になります(これまでは1基体制による実証実験運用)。

因みに、既に国内で販売されているGPS機器関連製品でも「みちびき」の位置測地に対応している機器は数多くあり、これらの機器は他機種より国内での測地はより正確という事になります。

来年以降こうした製品を買う/使う際には「みちびき」への対応の有無が選択の決め手になるかもしれません。

 

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